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賃貸人の義務
賃料が発生する物の貸し借りのことを賃貸借といい、貸す人を賃貸人。借りる人を賃借人といいます。
不動産以外にも、レンタルビデオやレンタカーなどのような動産にもあてはまり、賃貸人は物を他人に使用収益させ、賃料を得ます。
以降では、不動産における賃貸人の義務について見ていきます。
使用収益させる義務
「使用収益させる」とは、マンションなら賃借人に部屋を明渡し、生活ができるようにする。テナントビルならテナントスペースを賃借人に明渡し、店舗活動または事務所活動ができるようにするという意味です。
また、賃借人に貸した専有部分(マンションの場合は賃借人の部屋)以外にも、専有部分の使用に必要な範囲で、共用部分(廊下やゴミ置き場等)を使用させる義務を負います。
修繕義務
賃貸人には、目的物を修繕する義務があります。賃料をもらい物を貸す以上、通常の状態にすることは当然の義務だからです。
ただ、この修繕義務は修繕権という側面も合わせ持っています。例えば、雨漏りにより建物がどんどん傷んでいる場合、これに対する修繕を賃借人が拒否しても、賃貸人は修繕することができます。
費用償還義務
賃貸人は、賃借人が目的物に費用をかけた場合、その費用を支払う義務があります。
この問題は、その費用の種類を2つに分け、扱いを変えています。
まず1つは、必要費といい、目的物を使う上で必要となる修繕にかかった費用です。例えば、「雨漏りする箇所を直した」などがこれにあたります。通常の状態にすることは賃貸人の義務なので、当然、賃貸人に支払う義務があります。そこで、賃借人は費用の全額の支払いを直ちに賃貸人に請求することができます。
もう1つを、有益費といい、これは必ずしも必要ではないが、目的物の価値を高めるためにかかった費用です。例えば、「トイレをウォシュレットにした」などがこれにあたります。必要不可欠な行為ではなく、賃借人の都合でかかった費用であるため、直ちに全額を賃貸人が支払う義務はありません。そこで、賃貸借契約が終了したときに、賃貸人の選択により、価値増加分または出費額のどちらかを支払えばよいことになっています。