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投資の分析 その前に

不動産投資の分析をするにあたり、非常に便利で分かりやすいのが指標と呼ばれるものです。

指標とは、例えば・・・ というような計算式で、これは表面利回りを求める公式です。100をかけてパーセンテージで出します。

以降では、不動産投資の世界で使われている様々な指標について解説していきますが、大事なことは、

「その指標は何を求めるための指標か?」

を十分に理解する必要があるということです。
「数字は語る」と言います。
数字が語ることを理解するためには、それぞれの指標にある目的を意識すると、理解しやすいものです。

目的とは、例えば・・・

  • A不動産とB不動産ではどちらに投資した方が効率的か?
  • おおざっぱに見てこの不動産は買いか?
  • 投資したお金に対して返ってくるお金の割合はいくらか?
  • レバレッジはどれくらい効いているか?

などなど。

指標の名前など忘れてしまっても問題はありません。意味と計算の過程を知ることが何よりも重要です。

NOIとは?

NOI(Net Operating Income)は、正確にいうと指標ではありませんが、様々な指標計算の分子部分に登場しますので、覚えておきましょう。
NOIの「Net」は「正味の〜」といった意味があります。ネット利回りのネットです。
NOIを日本語に訳すと、正味稼動利益となります。

一体何を意味しているのか?

それは、不動産の運営には実に様々なコストがかかりますが、それらコストを実際の賃料収入から差し引いた、正味の利益ということです。 重要なポイントは、NOIは営業利益であって経常利益ではないという点です。
つまりNOIには、減価償却費、所得税、ローン返済額は関係ありません。

利回りとは?

利回りは、不動産投資の世界で最も頻繁に使われる指標です。
おおざっぱにいうと

「その不動産に投資したお金に対して、何%が返ってくるか?」

を表す指標です。
利回りは、何を計算に含むか、省くかで意味が違ってきます。また、人によって定義が違う場合があることにもご注意下さい。

利回りには2種類あります。それぞれ見ていきましょう。

表面利回り・単純利回り・グロス利回り

これは簡単な利回りで
で計算します。
例えば、1億円で買った不動産から年間1200万円の賃料収入がある場合 この不動産の年間表面利回りは12%ということになります。

ここで注意したいのが、賃料収入の定義です。
表面利回りで使われる賃料収入には、満室時賃料収入と実質賃料収入があるという点です。どちらの意味が一般的かというと、表面利回りは、売主が買主に

「これくらい利回りがあって魅力的ですよ」

という場合くらいしか使い道がないことを考えると、満室時賃料収入の方でしょうか。
別の考え方をすると、満室時賃料収入を知ることは、その不動産の伸びしろを知る上で有効かもしれません。

実質利回り・純利回り・ネット利回り・キャップレート・総合還元利回り・FCR

ここでは分子部分にNOIが登場します。
公式は以下の通り。 表面利回りと違い、分子部分にコストの考えを含めたNOIを、分母には買値以外に、その不動産を取得するためにかかったコストを含めます。取得コストとは、印紙税・登記費用・不動産取得税・仲介手数料などです。
表面利回りが実際には使えない指標なのに対し、実質利回りはリアルに利益を追求しています。実質利回りは、それぞれの不動産の収益性を比べるのに便利です。

ここから、最終的な利益を求めるためには、減価償却費と所得税とローン返済額の考えを入れる必要があります。

LTVとは?

LTVとは、Loan To Valueの略で、負債比率のことです。
何に対する負債の比率かと言えば、もちろん不動産の投資にかかったお金に対する比率です。

公式は以下の通り。 ローン金額は、金融機関に借りたお金です。言い替えば他人のお金

「その不動産を買うのに、何%他人のお金でまかなったか?」

を見る指標です。

不動産投資の世界でよく登場するレバレッジという言葉。
てこの力という意味で、より少ない力(自己資金)でより大きなもの(不動産)を動かすときに

「レバレッジが効いている」

などと言います。
LTVはまさに、このレバレッジの効き具合を表す指標といえます。

  • 対義語 : 自己資本比率

DSCRとは?

DSCRとは、Debt Service Coverage Ratioの略で、ローン返済の安全性を見る指標です。
DCR、DSCとも呼ばれます。

公式は以下の通り。 返済(Debt Service)を利益(NOI)がどれだけカバーしているかを見る指標です。
NOIがローン返済額に対して同じかそれ以上なら、DSCRは1.0以上となり、その不動産からの利益のみで返済できることが分かります。
つまり、DSCRは貸し手が非常に気にする指標といえます。
通常、銀行はDSCRが1.2に満たないと予測される場合は、融資を行いません。

ROIとは?

ROIとは、Return On Investmentの略で、投資収益率を表します。自己投下資本に対して、キャッシュフローがどれだけあるかを見る指標です。

公式は以下の通り。 ROIは

「自分が出したお金に対し、何%の見返りがあるか?」

を求める指標です。
これは重要な考え方です。当然自己資本を減らし、レバレッジを効かせば、ROIの値は上昇します。
「自己投下資本」の部分を「自己資本+他人資本」にすれば、実質利回りを求める式になりそうですが、決定的に違う部分があります。

それは、「キャッシュフロー」の部分。
実質利回りを求める場合は、ここが「NOI」になります。

NOIとキャッシュフローでは何が違うのか?

NOIは、償却前・返済前正味利益でした。
ここでのキャッシュフローは、償却前・返済後正味利益です。
もちろん返済額には、元本返済と利息返済の両方が含まれます。

不動産自体の収益性を比較する利回りに、その人によって違う返済額を入れるのは都合の悪いことです。入れてしまえば「不動産の比較」ではなく、「不動産投資の比較」になってしまうからです。ですので、利回りの計算に返済額は入れません。

しかしROIは、不動産投資として実際に物件を購入し、経営した後に分かる指標。または、実際に物件を購入したと仮定して、その不動産投資からはどれくらいの投資収益があるかを予測する指標です。
したがって、ROIには返済額を入れて求めます。

CCRとは?

CCRとは、Cash on Cash Returnの略で、自己投下資本に対してキャッシュフローがどれだけあるかを見る指標です。

公式は以下の通り。 あれ?どこかで聞いたような・・・?

そうです。先ほどのROIと同じ意味で使われます。
不動産投資においては、「ROI=CCR」という認識が一般的です。

「自分が出したお金に対して、何%の見返りがあるか?」
「自分が出したお金に対して、償却前・返済後正味利益がどれだけあるか?」

というものでした。

償却前・返済後利益・・・
償却前・・・?

なぜ減価償却費の考えはROIやCCRに含まれないのか?

それは、減価償却費を計上することによって恩恵を受けるのは所得税だけで、所得税は税金計算後の最終計算で出せばいいだけだからです。
つまり、そこまで計算するのが面倒だから端にどけているということですね。
しかし別に、減価償却費を計上した後の所得税をROIやCCRに含めても問題はありません。というか、むしろそうすべきかも知れません。
利回りと違って、ROIもCCRも不動産投資の収益性を見るわけですから。